この胸が痛むのは
口を滑らせてしまった。
ここからはいちいち反応せず、陛下のお言葉を
聞くだけにしようと思った。


「辺境の女傑には、そろそろ退いて貰う。
 こちらには内密に、色々と動いていて、目障りだからだ。
 何を思って、辺境は王都には負けていないと
ほざいているのか」

「……」

「軍備に必要以上に予算をつぎ込んでいる。
 王家に対して謀反の疑いありと受け取れるほどに。
 そのくせ、情報に疎い。
 これからは情報を制するものが、というのが
共通認識なんだが」

「……」

「辺境の頭を変えても良い時期だ。
 ジョセフとは話もついている。
 勇退なのか、蟄居なのか、母親の処分は
ジョセフには任せるが。
 王弟に対する度重なる不敬行為とするか、
元王女の事故死の責任を自ら申し出た事に
するか……
 理由は夜会後に考える」


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