エリート国際弁護士に愛されてますが、身ごもるわけにはいきません

しばらく呆然としたあと、力が入らなくなった身体を抱きしめてくれる大和の胸元に頬を寄せ、瑠衣は働かない頭で彼を想った。

英利への恩義ゆえにこの結婚を即決した大和は、瑠衣に対し特別な気持ちは持っていないだろう。

それは瑠衣も同じで、結婚を決めた時は彼に愛情を抱いていたわけじゃなかった。

それでもこの二ヶ月を一緒に過ごしてみて、彼がいかに誠実な人柄であるかが改めてわかったし、瑠衣はすでに大和への恋心を自覚している。

自分でもあっさり恋に落ちたものだと呆れているけれど、彼ほど素敵な男性ならば仕方がないとも思う。

今すぐでなくても構わない。いつか、努力を重ねて、両親のような仲のいい夫婦になれたなら。

互いに荒い息を整えながら寄り添い、髪を梳くように撫でてくれる大和となら、望みをもってもいいような気がした。

「辛くない? 平気?」
「大丈夫、です」

気怠さはあるけれど、辛いところなんてひとつもない。それくらい、大事に丁寧に抱かれた。

大和に与えられる快感に翻弄されたせいか、直前に飲んだアルコールのせいか、徐々にまぶたが重たくなってきた。

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