【完結】吸血鬼の花嫁~罪人聖女と呼ばれた私は、再会した幼馴染の彼に溶けるほど溺愛されています~
「リン、彼女の様子はどう?」
「エルゼ様、おかえりなさいませ。フィーネ様は私との練習の時間以外にもご自身でああして訓練なさっておいでです」

 遠くの方からヒールをうまく履けずに廊下に倒れる音が聞こえる。

「彼女、なかなか根性あるわね」
「はい、わたくしの知る限り、一度も弱音を吐いていません」
「あと5日……間に合うといいのだけど……」

 フィーネは朝5時には起きて訓練をし、そして夜は時には2時まで練習をおこなうこともあった。
 ベッドではすやすやと眠るフィーネを姿があり、そんな彼女の寝顔をリンはじっと見つめていた。
 すると、部屋のドアをゆっくりと開ける気配がして思わずリンは構えて目を凝らす。

「リン」
「オズ様」
「しぃー! フィーネは眠っているかい?」
「はい」

 その言葉に安心したようににこりと笑うと、フィーネの眠るベッドへと近づく。
 穏やかな顔で眠る彼女の髪を優しくなでて、そしておでこにちゅっとする。
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