【完結】吸血鬼の花嫁~罪人聖女と呼ばれた私は、再会した幼馴染の彼に溶けるほど溺愛されています~
 馬車を降りて御者に尋ねるも、汚らしい格好のせいで乞食と勘違いされて剣を向けられた。

「ひいっ!」

 少女は慌てて森の方へと走って逃げて行った。
 赤くなっていく少女の足、そして手……。
 寒さで体が凍えてどんどん体力を奪っていく。

 ついに足も限界が来て、雪の上に倒れ込んでしまう。


(お父さん、お母さん、もうすぐ……りんもいくね……)

 目を閉じて意識を失いかけていたその時、明かりを顔に向けられて目が覚める。
 そして誰かに抱き起されて、顔に積もっていた雪を払って生死を確認された。

「暖かい毛布をっ!」

 そんな言葉がリンの耳に届いた。
 だが、そこでリンは意識を手放した──



 目が覚めると、リンは今まで見たこともない異国の地の豪華な部屋にいた。
 なんだろうか、このふかふかの寝床は……。
 そんな風に思いながら周りを見渡しても、見慣れないものばかり。

「起きたかい?」
「……?」

 少年はリンの目をじっと見つめている。
 なんて綺麗な青い瞳なんだろうと思った。
 それよりも彼の言葉が何て言っているのか全く分からない。

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