【完結】吸血鬼の花嫁~罪人聖女と呼ばれた私は、再会した幼馴染の彼に溶けるほど溺愛されています~
 そんな風に思いながらオズは名残惜しそうに身体を離すと、馬車に乗り込んで仕事へと向かった。



 オズが向かったの教会の前であり、そこには一緒に来た側近のロルフ、そして合流した衛兵がいた。
 皆、気を引き締めて戦場に向かうようなそんな面持ちでいる。
 無理もなかった。
 これまでしっぽを掴めなかったここの教会の神父の様々な不正、主に税の取り立てと人身売買の罪の証拠をつかめ、いよいよ罪を裁くときがやってきたのだ。

(フィーネを苦しめたこの教会を、そして神父を裁く……)

 覚悟を決めたオズはロルフと衛兵に合図をして突入をする。

 この時間は礼拝堂にいるという情報を掴んでいるため、その情報を頼りに一気に突入すると、情報通り祈りを捧げる神父と傍らにはシスター見習いの女性がいた。

「なんですか、突然っ! ……っ!! エルツェ卿……!!」
「お久しぶりですね、お元気にしていたでしょうか?」
「なぜ、こちらに……」
「それは自分の胸に手を当ててよく考えたらいかがですか?」

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