Triangle Love 3 ~ Close to you ~

piece of イクヤ

『どうしたのナナミちゃん?元気ないね。』

放課後、僕達はカフェで食事をしていた。

いつもの放課後デートだ。

お店の端にある2人用の席に座っている。

喫煙席が近くにあるので、少しだけ煙草臭い。

『そう…?かな…。』

明らかに声が暗い。

大好きなはずのケーキはフォークを刺したまま、全然口にしていない。

これは何かあったとしか思えない。

カナメくん関連のことかな?

『ナナミちゃん。僕達は恋人同士だよ。悲しい事は共有して一緒に乗り越えようよ。』

僕は(狙い澄ました)笑顔で言った。

『いっくん…!』

ナナミちゃんの表情は、誰が見てもはっきりと分かるくらい晴れやかになった。

やっぱチョロいな。

『それでね…。』

ナナミちゃんは話を始めた。

僕は相槌すら打たず、無言で聞いていた。

なるほど。

今朝、ナナミちゃんはカナメくんの家に突撃したと…。

『めーちゃん、違う人みたいだった…。おかしくなっちゃったよ…。』

『…。』

『でね。変わったのはわたしの方だってボソっと言ってたんだよ〜。わたしは何も変わっていないのに…。』

ナナミちゃん…。

君はどこまでカナメくんを追い詰めるんだ?

とことん傷をつけるんだ?

無自覚なまま…!

自分の手が届かない場所にいる相手が。

触れることのできない相手が。

近づいてくる。

決して自分のものにはできないのに…!

残酷な仕打ちだ。

想像しただけで心が痛い。

この子はまだ、自分がどこにいるのか気づいていない。

カナメくんは今も苦しんでいる。

決めたよ。

ナナミちゃんは、僕以上にカナメくんを苦しめる。

カナメくんを解放しないなら…。

恋愛ごっこは終わりだね。
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