逆転結婚~目が覚めたら彼女になっていました~

 顔は大火傷を負ってしまったが、身体には火傷はなかった。
 純也も軽い火傷で、両手も後は残っても分からない程度だと言われた。


「私の事なんて弁護士たら、きっとみんなに恨まれるわよ」
「別にいいいじゃん、誰かを恨んでその人が幸せになるなら。まぁ、俺は受け取らないけどね。そいつが勝手に、そう思ているだけだし」
「本当に変わっているわね」
「いいじゃん。それよりもさ、もっと自分大切にしろよ。アンタは、一人の体じゃないんだからさっ」

 フット笑った彩は、そっとお腹に手を当てた。

「どっちの子供か分からないけど。…本当にできちゃったんだ…。私なんか母親でいいのかしら? 一生刑務所から、出てこれないと思うけど」
「あんたを選んで来てくれたんだ、素直に喜べよ。産まれたら…俺が引き取るからさっ」
「はぁ? 本気? 」
「ああ、本気。だって、俺が助けたんだからさっ」

 彩は呆れてしまいそれ以上言葉が見つからなかた。

「あのさ、俺は思うんだけど。良い事も悪い事も、本当はないのだと思うよ」
「どうゆう事? 」
「いい事も悪い事も、人が決める事。つまり、個人の見解。それに俺は、悪い事をする人間だけが悪いなんて思わない。罪を犯す事は悪い事で、罰せられるけど。罪を犯させる方にも、問題はあると思っている。お前だってそうじゃん、普通に生活していたらこんな事しなかっただろう? 」

 普通に生活…。
 そんなこと考えたことが無かった。

「そうね…しなかったかも…」
「まぁ、安心しろ。俺は被告人専門だから、ちょっとでもお前の罪を軽くしてやるから」
「期待しないでおくわ」

 彩は可愛くない言葉を言ったが、内心は嬉しかった。
 いつも責められてばかりで誰も味方なんてしてくれない、好き勝手やっておもちゃにするだけだと思っていたけど。
 純也が今こうして味方をしてくれる事に、初めて喜びを感じたのだ。



 
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