逆転結婚~目が覚めたら彼女になっていました~

「何となくですけど、気がづきましたよ。ずっと…気にかけていましたから高校生の時から」
「え? 」
「苗字が違いますし、いつも怖い目をして見られていたので。嫌われているのだと、思ってしまいました」

 部長の麗人は、ほんのりと頬が赤くなり耳まで赤くなってしまった。

「ご、ごめんなさい…。そんなつもりは全くありませんでした。…自分は伊集院さんが、覚えていないとずっと思っていたので…」

 すっかり動揺してしまった部長の麗人を見て、鷹人も麗香も顔を見合わせてクスッと笑った。

「良かったわね、2人共。本当は、両想いだったんじゃなくて? 」

 え?…
 部長の麗人も麗人(優衣里)もきょんとなってしまった。

「麗人が伊集院さんを営業部に所属させてほしいと、私にまで頼んできたからピンときていたんだ。高校生の時、とっても綺麗な同級生に確か伊集院さんって子がいたことを思い出してね」
「麗人は不器用だから、素直になれないのよね。特に好きな人には尚更みたいで。伊集院さんが、朝丘さんと交際しているってみんなが噂し始めた頃から不愛想が尚更愛想がなくなってしまったのよ」

「でも安心した。昔の麗人に戻ってくれたようで」
「何も心配しなくていいわよ、朝丘さんも萩野さんも移動してもらうことが決まったから」

「本当? 」
 部長の麗人が尋ねた。

「ああ、朝丘さんは先日のAKフードさんからクレームが入ってきたんだ。担当を変えて欲しいって。わざわざ部長さんが、謝罪に来てくれるなんて、担当はいったい何をしているんだって言われてしまった。前々から、外回りをさぼっていると報告も入っているからな」
「萩野さんは、いろんな男性社員に言い寄っていて。金銭面のトラブルも発覚しているの。彼女は派遣社員だから、更新を断るだけでいいのだけど。朝丘さんは、そうはいかないから」

「後は私に任せて、安心して仕事をしてくれて構わないよ」

 
 何となくホッとした。
 でも…朝丘さんって、しつこそうだからなぁ…。

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