逆転結婚~目が覚めたら彼女になっていました~
「驚かれても仕方ありませんね。自分は、社長の実の息子である事を隠してこの会社に入社しました。身内だと分かれば、みなさん気を使われますので。でも、もう隠す事はありませんので本当の名前に戻しました」
「何言ってんだ? そんな事ありえねぇだろ? 」
信じられない顔をしている文彦に、部長の麗人は免許証を取り出して見せた。
免許証には沙原麗人と書いてあり証明写真も貼られている。
メガネを外した素顔の部長の麗人のままである。
なんだよこれ…じゃあ俺は、どうなるんだ?
優衣里は本気で俺と婚約破棄をする気なのか?
文彦が困惑していると、彩が外周りから帰って来た。
「ん? 」
部長の麗人の傍にいる文彦の様子がおかしい事に気づいた彩。
「萩野さん、ちょうどいいタイミングで帰って来てくれましたね。貴女にもお話があったのです」
「私にですか? 」
なんだろう?
彩は部長の麗人の傍に歩み寄って行った。
「萩野さん。先ず、先にお伝えする事は。貴女の契約は今月いっぱいで終わりです」
「え? どうゆう事ですか? 更新は来月ですよ」
「そうですが、貴女は嘘をついて社員を困惑させていますので。これ以上、問題を起こされては非常に困りますので更新を打ち切らせてもらったそうです」
「嘘? 社長の息子さん、沙原麗人さんと婚約したのは本当ですよ。昼間も写真を見せましたよね? 」
「残念ですが、あの人は本当の沙原麗人ではありません」
「どうゆう事ですか? 」
「本当の沙原麗人は、自分ですから」
はぁ?
驚きつつも、彩は史彦と顔を見合わせた。