逆転結婚~目が覚めたら彼女になっていました~
こんな体にしたのは
 
 それから2週間後。

 いつものように沙原コンサルティングも仕事が始まった。

 外回りの営業社員が出て行き、文彦も外出して行った。

 彩は引継ぎが終わり残りの出勤が1週間を切っていた。
 今日は内勤の残務をこなしている。

 チラチラと、部長の麗人を見ている彩は、何か企んでいるような目をしている。

「伊集院さん、これを社長室へ届けて下さい」

 部長の麗人がファイルをもってきた。

「分かりました」

 ファイルを受け取ると、麗人はそのまま席を立って営業部を出て行った。

 内勤に残っている社員は3名。
 みんな背を向けているのを確認した彩は、席と立って部長の麗人の元へ歩み寄って行った。

「部長、ちょっとお話があるのですが」

 彩が声をかけると、部長の麗人はん? とした目を向けた。

「あの…部長…」
 話し始めた口元に、ニヤッと笑いを浮かべた彩は突然、自分でブラウスを引きちぎった!

「ちょっと! 部長やめてください! 」

 何事か? と、内勤している社員が振り向いた。

 彩は自分でブラウスを引き裂いて、上半身は下着姿になり、わざとらしく肩を竦めた。

「部長、酷いです! みんなが見ている前で、こんな事して…これは、性的暴行です! 」
 
 何がやりたいのだ? 
 部長の麗人は冷静な表情のまま彩を見ていた。

「どうしてくれるのですか? 社長を呼びます! 」

 そのまま内線をかけ始めた彩。

「社長! すぐに来て下さい! 部長が突然、私の事を襲って来たのです! 早く来て助けて下さい! 」

 内線を切った彩は、またわざとらしく肩を竦めた。

「部長…警察に言いますよ! いくら、社長の息子でもこんな事件を起こせば、将来真っ暗ですよ! 」

 部長の麗人は呆れてしまい、返す言葉が見つからなかった。
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