紺くんはわたしの世界一好きな人。

　“金の夫婦の卵(ゴールデンカップル)だっけ？”
　“もしそれになれなかったら帰るところなくなっちゃうでしょ？”

　高1の時に言われたゆま叔母さんの言葉が脳裏に響く。

　わたしはぎゅっと自分の右手を握り締める。

　ゆま叔母さんは今、彼氏さんと結婚して幸せに暮らしてる。

　だから帰るところはもうないのに。

「分かりました。普通科に転科しまぁーす」

　わたしは両目を見開く。
「ちょ、紺(こん)くん！？」

「ごちゃごちゃ言ったって無駄」
「デステニーがそう判断したなら仕方ないでしょ」
「今までありがとーございましたー」
　紺(こん)くんは軽く別れを告げると学園長室を出て行く。

　わたしはそんな紺(こん)くんを追いかける。

「こ、紺(こん)くん、待って下さい！」


「一緒に金の夫婦の卵(ゴールデンカップル)になるんじゃなかったんですか！？」

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