イケメン検事の一途な愛


「あ、そうだ」
「ん?」
「こっち座って?」

頼んだものが届くまでの間に彼女に見せたいものがある。
俺はそれを鞄から取り出し、説明し始めた。

「最初に詫びとくな。勝手にしたこと、ごめん」
「何なに?」
「これ、俺の自宅にあった歯ブラシやヘアブラシから採取した美雨のDNAな。で、こっちのは事件の捜査資料として保管されていたDNA鑑定の証明書で、これらから親子関係を証明する書類。これを使えば事件はもとより、戸籍を回復する際にも有利だから」
「……そんなことまで」
「それから、これは美雨の父親の仕事や会社に関する過去の記録とそれに関する資料で、もしかしたら、この中に犯人に繋がる者ものいるかもしれない」
「………ん」
「それから、これは俺が独断で調べた資料なんだけど……」

リビングテーブルは決して小さくないのに。
そのテーブルの上に広げられた書類は一晩じゃ見切れないほどの量だ。

突然の膨大な資料を前に動揺を隠しきれない彼女。
手が震え気味なのが見て取れる。

「ご両親が亡くなった3年後に急成長した会社とその会社の代表の資料がこれ。俺の見立てだとコイツが一番怪しい。父親の担当する取引先でもなく、会社とも全く取引がないんだが、父親と親しい友人の取引先で、亡くなる1年前から事業に出資してることが判明したんだ」
「え?」
「恐らく、その配当とかで揉めたのか、何らかのトラブルがあったんじゃないかな?」
「……なるほど」
「ご両親が亡くなった後数年は大人しかったこともあるし、友人の取引先だから現地警察もそこまで範囲を広げなかったんだと思う。日本と違うしな」
「……ん」

その他にもこれまでに調べた情報を彼女に開示して、その資料を全て彼女に手渡した。
勿論、写しは俺の手元に残してある。

< 117 / 142 >

この作品をシェア

pagetop