イケメン検事の一途な愛


担当した事件で、壮絶な人生を歩んでる被害者を何人も見て来た。
仕事だから冷静な判断を下すが、実際知り合いで同じような境遇だったらと考えると心が痛む。

「探偵みたいな調査会社に頼んでみたら?」
「してます。……10年ほど前から」
「………そっか」

そりゃそうだよな。
第一線で活躍してる俳優なら、それこそ俺より稼ぎはいいだろうし。
数社に依頼しててもおかしくない。

「俺の方でも調べてみようか?」
「え?」
「知り合いに調査会社を経営してる友達いるし」
「ホントですか?」
「ん」
「でも、ご迷惑じゃ?」
「俺が探偵なわけじゃないから」
「あ、……そうですよね」

やっと明るい表情になった。
テレビの中で泣いているのなら、それほど気にも留めないが。
目の前で今にも泣きそうな顔見たら、放っておけないだろ。

「考えるんです」
「………何を?」
「もしかしたら、事故で亡くなってしまって、引き取り手がいなくて施設に引き取られたのかな?とか」
「……あぁ、ん」
「もしかしたら、何かの事件に巻き込まれて亡くなり、生き別れたとか……」
「………」

彼女の言葉で、心の奥にある部屋から悲鳴のようなものが。

15年前。
突然消息が分からなくなった初恋の子がいる。

彼女との出会いは更に3年ほど遡って。
10歳の時、俺の通う小学校に転校して来た子がいた。
親の仕事の関係で、マレーシアから来たという帰国子女。
明るく天真爛漫で、小麦色に焼けた肌が眩しいくらいに似合っている女の子。

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