イケメン検事の一途な愛

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「…ー……されて、その後すぐに母も刺されて父の隣に倒れたのを見たの。犯人は男3人組で、父が務めていた会社の取引先の人っぽかったけど、会社の名前までは分からない。言語と容姿からして東南アジア系だと思う」
「………ん」

宿を出発した俺らは、車で九十九里浜をドライブしてから高速道路を利用して帰路に着いた。
その高速道路を走行中、彼女は突然15年前の出来事を話し始めた。

公表されている情報の他に検察庁と警察で把握している情報にも、彼女の言うように複数犯での証拠があることは知っている。
だから、彼女の口から聞かされてもさほど驚きはしない。

刑事事件を担当する検察官というのもあるだろう。
毎日のように、刺殺、撲殺、遺棄など『死』に関する事件も多く担当しているから。

だが、面識のない他人でさえ憤りを覚えるような犯行の詳細を聞けば、慣れているとはいえ心は痛むのが当然で。
それが、自身がその昔に行き会ったことがある上、大好きな人の両親だと知らされれば動揺するのも当たり前。

なのに、当事者である彼女が予想に反して淡々とした口調で話している。
取り戻した記憶とはいえ、両親が刺された時の状況を話すのに、これほどまでに心を冷静にしていられるのだろうか?

「その後に、犯人たちは部屋に火をつけたの。通報しようにも今みたいに携帯電話持ってなかったし、窓から逃げようとした時に犯人たちに見つかって……。殴られたのか、薬を吸わされて気を失ったのか分からないけど、気づいた時には船の中にいた」
「え?……船?」
「うん。漁船なのか、コンテナ船なのか分からないけど、とにかく飛び交う言葉は外国語で。目隠ししてたから何人いたのかもどんな船だったのかも分からないけど、何日もの間ずっと揺れてて」
「……え?」

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