離婚予定の契約妻ですが、クールな御曹司に溺愛されて極甘懐妊しました

「んー、そうだろうね。私に務まるか心配だけど、とりあえず泉がいてくれるから心強いよ」

「純玲がウチに来てくれるのは嬉しいからいいけど、佐久間肇の方！　アンタ、従姉妹に横取りされたって噂は本当なの？」

　興奮して泉の声のボリュームが上がる。会社の人がいなそうな場所を選んで正解だった。

「横取りっていうか……まあ、私が肇さんと別れたことは本当」

　坂道の名前が付くアイドルグループにいてもおかしくないくらい清楚系の容姿をしている泉だが、性格ははっきりしていて歯に衣着せぬ物言いをするタイプだ。
　地味女子を自負し、だれとでも仲良くできるタイプではない純玲にとって泉は大切な友人だ。

　純玲が別れた理由を話すと「あんの野郎」とか「あの従姉妹性格悪すぎ」と美しい顔を歪ませてパスタを食べていたのだが、しばらくすると手が止まった。

「……あとね、純玲が養子だって話も噂にくっ付いて回ってる」

　泉は少し言いずらそうに小声で言葉を落とす。

「……そうなんだ」