離婚予定の契約妻ですが、クールな御曹司に溺愛されて極甘懐妊しました
「いいって。それより次いこうよ次。純玲はさ、落ち着いた雰囲気の美人だからお近づきになりたいっていう男性社員だっているのよ。きっといい人見つかるから!」

「あはは、それはどうかな……あ、もうあんまり時間ないから食べちゃおか」

「わ、ほんとだ。急がなきゃ」

 ランチタイムも終わりに近づいている。話に夢中になって半ば放置されていたパスタをふたりは慌てて食べ始めた。

 自分のことのように怒り心配してくれる友人に感謝すると同時に、純玲はまだ彼女に重大なことを言っていないことを申し訳なく思う。

(今日、白石先生が区役所に婚姻届を出しに行ってくれてるんだよね……)

 昨日書類が揃ったので今日の午前中に区役所に出してくると言っていた。本当にフットワークが軽い人だ。

 記載内容に不備がなければ既に自分は戸籍上『白石純玲』になっているはずだ……現実感がなさすぎる。

(泉、ごめん……肇さん別れたその夜、他の男性と身体の関係を持ち、その人と今日結婚しました。ちなみに契約結婚ですなんてさすがに言い出せない)

 もう少し結婚のことは黙っておこうと思う純玲だった。

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