愛されてはいけないのに、冷徹社長の溺愛で秘密のベビーごと娶られました
 予想はどれもはずれ、柏木社長はこちらをじっと見つめてくる。俺は淡々とKMシステムズの不正や社員や外注者に対する不当な契約についての証拠や証言を彼に告げた。柏木社長は口を挟まず、眉ひとつ動かさない。

 一通りの説明を終え、彼を見た。

「それらをすべて公表して告発すればいい。どっちみち私は社長を降りる」

「だから、好きにすればいいと?」

 どこか冷たい言い方の柏木社長に眉をひそめた。しかし彼は逆ににやりと口角を上げる。

「では、佐竹の倅と共にRADソリューションを起ち上げた君の実力を見込んで提案しよう。KMシステムズの次の代表になる気はないか?」

 思いがけない内容に目を見張る。彼はなにを言い出したのか。

「その気が少しでもあるのなら、私の友人でKMシステムズの立ち上げから今まで尽力している三木という男を紹介しよう。役員の中でも一目置かれている」

「すべて認めるんですね?」

 淡々と事を進めていく柏木社長に訝しげに尋ねた。すると彼は自嘲的な笑みを浮かべる。

「ああ。すべては私の責任だ」

 その言い方がなんとなく引っかかる。柏木社長はなにがしたいんだ? 俺を自分の後釜に収めて、これらのスキャンダルを外に出させないようにしているのか?

 買収だとしたらそれなりの言い方をしてくるだろう。仮にもKMシステムズの代表取締役だ。こんな駆け引きに意味はない。断ってすべてを暴露する可能性だってある男を後継者に名指しするなんて……。
< 117 / 123 >

この作品をシェア

pagetop