麻衣ロード、そのイカレた軌跡❶/咆哮
その3
麻衣



腹くくって、開き直ったとはいえ、やっぱり体が震える

目の前の”会長”は、長身だ

鴨居にアタマつっかえそうだから、背は190くらいか

スーツ姿なんかじゃなくて、黒のタンクトップだ

ざっと見る限りじゃ、入れ墨は見当たらない

仁王立ちで私の目をじーっと見てる

ちょうど2Mくらい前で

やっぱり威圧感は凄い

私も会長の目をじーっと見つめてた

2分くらい沈黙が続いた後、会長は静かに言葉を発した

「オレが誰だかわかるな?」

「はい」

私は簡潔に答えた

直後、会長は部屋の隅にある押し入れに向かった

バターンという襖を開く音と同時に、私に言った

「病院から連絡があってな、息子は死んだよ。自殺だ、病室から飛び降りてな」

さすがに衝撃で、背筋から血の気が一気に引いた





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