麻衣ロード、そのイカレた軌跡❶/咆哮
その2
麻衣



「麻衣さん、着きましたよ!」

15分ほどは知ったところで、剣崎さんの店、ヒールズに着いた

私は走って店内に入ったわ

「剣崎さん、お待たせです!…予定通り運んだと思うんで、”かかって”くれますか?」

「わかった…。まあ、そこ座れよ。今、冷たいもん運ばせるから」

店内には他に人は見当たらなかったが、間もなく能勢さんが早足に入ってきた

「能勢、冷蔵庫から何かお出ししろ」

剣崎さんはそう声をかけながら、すでに奥で電話を前にしている

終わったのか、本当に…

いや、実際の状況は、はっきりしていないんだ

安心はできない…、まだ

私は自分に言い聞かせた


...


私はカウンターのチェアに腰を下ろし、能勢さんが持って来てくれたコーラを一気に飲み干した

”こういう時”の喉の渇きってのは、独特なんだよな…

剣崎さんと能勢さんは、2台ある電話で慌ただしく、”取り掛かって”くれてる

緊迫感…、まさにその形容そのものの場だった

3、4件のやりとりを終えた時点で、受話器片手の検崎さんから、”よそ行き”で声がかかった

「概ね”想定通り”のようですね。”マト”は相模浦南病院に運ばれて、診断を受けてるが、少なくとも、重症ではなさそうだと…。”マト”以外は、ケガしてないみたいですね」

「そうですか…、ふう…」

自分が襲撃させて、亜咲さんの”無事”に胸を撫でおろす自分…

はは、異常だわ…


...


「それで、警察の方はどうなんですかね?」

私が尋ねると、剣崎さんは私のすぐそばに来て、小声で答えた

「今、各所に手を回して探ってるところだ。間もなくわかるだろう」

その間も盛んに電話のベルが鳴っている

「オヤジさん、いいですか?」

電話を受けた能勢さんが剣崎さんを呼んでるわ

はあ…、なにしろ、当の迫田は無事逃げ切ったのかだろうか

やっぱり、そこが一番の気がかりだ


...


「能勢、麻衣さんを送る準備しとけ」

「わかりました」

剣崎さんは、能勢さんが店の外に出たのを確認したあと、再び私に話しかけた

「どうやら麻衣、すべてシナリオ通り運んだみたいだな。お前、部屋に戻って、今日はいつでも電話出られるようにしとけ。随時、連絡を入れる」

私らが店に到着して約20分強、一通りの結果を検崎さんに告げてもらった

「ええ、わかりました。じゃあ…」

私は再び、能勢さんの運転でアパートまで送ってもらった

”すべてシナリオ通り”と言っていた

剣崎さんは確かに…

なら、私の”やるべきこと”は、次の段階に進んだということだ

忙しくなるな…、これから

まずは早く部屋に戻って、真樹子さんと連絡を取らなきゃ…






< 53 / 53 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

マッド★ハウス

総文字数/27,316

青春・友情28ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
あの時代、壮絶な運命を生き切った横田競子とその愛を貫くとこととなる香月明。 二人の出会いが約束されたクロニクル・イン・マッドハウス…、秘話エピソードです! ”マッドハウス”でドン底の日々にあったアキラは、紆余曲折を経て、女ロッカー天理赤子の”機転と誘導”でマッドハウス専属のロックバンド、”ロード・ローラーズ”のサポートメンバーに抜擢される! 拙著、超長編群像ストーリー『ヒートフルーツ』の外伝ピックアップ編集作品になります!
遠き記憶を染める色

総文字数/60,776

恋愛(純愛)40ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
仄かな憧憬と淡い胸のときめき…。 宝物だった穢れなき遠き記憶が裏切りの刃を翳した時、少女は裸の海に抱かれ真っ赤な夢を見た? 切ない純愛ストーリーにエログロ+ホラーテイストを施した中編甘美作! 注釈:本作品は、残酷描写や性表現が含まれます。閲覧の際は、ご留意ください。
表紙を見る 表紙を閉じる
1995年に導入された、広域暴力団壊滅を目的とした国家を挙げての大規模な暴対法改正…。なんと、この改正案を昭和バブル到来直前の1980年代半ば、然るべき権力側から、戦後日本の極道社会を席巻した独立系ヤクザのカリスマ・相馬豹一率いる相和会へ武闘派幹部を通じてリークしていた! 国家権力サイドの目論見は、戦後日本の裏社会を支配してきた関東・関西の広域組織に代わる必要悪の受け皿となる新たな反社会勢力組織のモデルスキームを、不治の病に侵され余命数年という定説が流れたいた昭和末期…、相馬豹一亡き後の新生相和会を武闘派の最高幹部・矢島を支える剣崎満也に現出させるという仰天計画であった。 かくて、相馬豹一は、周囲関係者の予期通り、昭和バブル到来の足音と入れ替わるように、この世を去る。 ジャパン・アズ・ナンバーワンロードを滑走する経済パワーで、世界を震撼させたニッポンを裏支配する極道界の東西広域組織は暗躍、国家権力の思惑を受容したヤクザ業界のキャスティングボードを握る相和会の背骨を担う剣崎による壮大なトライアルが幕を切って落とすのだが…! この中心には、東京埼玉県境の猛る少女たちが発熱のムーブメントでファーストレジェンド再編闘争を経て、暴走族や愚連隊らもその磁力で引き寄せた恒星と成したレディース勢力、南玉連合がいた…。 そして、南玉連合をガチンコの対峙を体現していた横田競子と本郷麻衣がついに、相馬の病死と同時に命がけの決断…、そして渾身の恋道に陥る! 超長編’80S群像ストーリー後半第2部は、オレオレ詐欺を先駆けとしたシステム詐欺を産み落とした新世紀ヤクザ支配の構図を浮き彫りにさせるシリアスモードで展開されます。 主だった登場人物だけで50人近くにのぼる大河作品なので、できれば関連作『NGなきワル』『ツナミの女』『セメントの海を渡る女』との併読でのヒートフルーツワールドの”完全攻略”を達成していただければと…。

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop