少女達の青春群像           ~舞、その愛~

やってしまった!

 薄暗い夜道に二つの黒い影が連なって伸びている。影はゆっくりと比良木駅に向かって動いていた。

「結局、響ちゃんは帰ってこなかったなぁ」

「響ちゃん、どこに行ったんだろうね」

 これらの影の主は舞と中葉だった。2人は響歌が帰ってくるのをさっきまで待っていたが、暗くなってきたので先に帰ることにしたのだ。

「そういえばムッチーって、川崎のことが好きなの?」

 中葉の言葉に、舞は驚いて足を止めた。

「なんで知って…あっ、しまった!」

 また口が滑ってしまった。

 慌てる舞に、中葉が微笑んだ。

「そりゃあね、さっきの行動を見ていたらさすがにわかってしまうよ。ムッチーは本当に幸せ者だなぁ」

 川崎に好きな人がいるのは確かなようだが、それが誰なのかはまだわからない。舞にもそのことはきちんと伝えたはずだ。

 だが、舞は自分が川崎の好きな人なのだと思い込んでいる。さすがに目の前であんな言動をされると、誰だって舞が川崎のことを好きなことがわかってしまう。

 そんな舞がとても幸せそうで、少し羨ましい。
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