切っても切れない関係
紅葉はガキの頃の事件で
俺が責任を感じて側にいると思ってる。


確かに、責任は感じる。
理由はどうあれ俺を守ろうとしたせいで

紅葉の心と身体に
一生モノの傷を付けてしまったんだから。


あの時の紅葉は
大声で助けを呼びながら
何度も犯人に飛びかかっていたと思う。
俺は引っ張られた腕に噛み付いたり
引き離そうとしてたから
度々くる衝撃と紅葉の助けを呼ぶ叫び声で
そう判断した。


当時の俺は小さくて非力で
目の前の事だけで必死だった。


紅葉のSOSに気が付いた
大人達が駆け寄ってきてくれ
犯人は逃げ出し取り押さえられた。


そこでようやく
助かったと安堵して
周りの状況が把握できた。


すぐに紅葉がいるであろう場所に
目をやると膝をついて黙って疼くまっていた。


上半身の左側が真っ赤に染まっていた…


俺はパニックになり


「モミジ!」と大声で叫んで
駆け寄ろうとした。


すると、紅葉は俺に心配かけさせないように
顔を上げると


「イツキ、無事で良かった。ストップ!
血がついちゃうから、そこにいて、ねっ」


と、ニッコリ笑った。
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