大人の初恋
トイレから戻ると美紅がニヤニヤしていた。
「ねぇねぇ、さっき本社の人と話してた?」
さっきの出来事を思いだし少しイライラする。
目が合った瞬間、立ち止まったが、会釈も返さず素通りされたのを頭に浮かべた。
「話なんてしてないよ。こっちは気付いたから挨拶したのに素通り。狙うなんてやっぱりあり得ないよ。会社でイライラしないで接する事が出来るか心配」
「えっ。会社に来た時、愛想良かったんだけどなぁ。プライベートは別なのかな?」
「会社でも無愛想だったよ…まぁ少し助けてはくれたけど。たまたま助かっただけだと思う」
「結奈には本当の姿を見せてるとか」
「もぅ、フォローは良いよ。ありがとう。多分彼と私とじゃ本能的に合わないんだと思う」
「もったいな。美男美女で2人ともスタイル抜群だから合うと思ったんだけどなぁ。しかもこんな田舎。いい出会いなんて長々ないよ」
「その時は美紅よろしくね。お婆ちゃんまでずーっと一緒にいてね」
「まだ23歳なのにそんな発言は禁止。それなら彼の友達は?声からすると4、5人で男友達だけで飲んでると思うよ」
「本当に大丈夫だよ。無理して彼氏作っても長続きしないしね」
「そっかぁ。でもいい人ができたら、すぐ教えてね」
「勿論」。
しばらく飲んでいると、美紅もお手洗いに行く。
結構飲んだしデザートでアイスでも食べようかな、とメニューを見ていると美紅が戻ってきた。
「スマホ落ちてた。拾って持ってきちゃった」
結構な酔いが回ってた為、落とし物を店員に渡す事まで頭が回ってないのかな。と思いながら一緒にレジまで届けに行くことにした。
追加注文をするようにボタンを押せば店員が来ることまで頭が回らない私も意外と酔っぱらっている。
レジまでの通路を歩いていると後ろから
「すいません」
と声がした。
「すいません。それ俺のスマホです」
「今レジの所まで届けに行こうと思ってました」
美紅とスマホを落とした人がやり取りをしている。すると後ろから
「スマホ見つかったー?」
と声がした。
また高橋 渚だ。
早くこの場を終わらせて自分の席に戻りたいなと思っていると、別の友達が
「マジありがとう。こいつのスマホどこ探しても見つからなくて。どこにあった?」
「ヤシの木みたいな観葉植物の影にありましたよ」
美紅が答える。
「そんな所にあったのによく見つけたね。ありがとう。そうだ!お礼に良いものあげるから、そこの席で待ってて」
といい放ち厨房の方に消えていった。
どうやら彼はここの店員らしい。
めちゃくちゃチャラそう。正直苦手なタイプだ。
そして置き去りにされた私と美紅。
高橋 渚も居るという現状。カオスだ。カオス過ぎる。
一刻も早くこの場から離れたい。と思いながらも渋々彼らの席で待つ。
沈黙に耐えきれず美紅が口を開く。
「今日、会社に来た本社の方ですよね」
「そうです。さっき気づいて挨拶した方が良いかなと思ってたんですが、楽しそうに飲んでたので邪魔しちゃ失礼かなと思い。遅くなりましたが、高橋 渚と言います。月曜日からも宜しくお願いします」
まるで別人を見ているような気分だった。物凄く愛想よく話す彼。
さっき通路ですれ違った時とは大違いだ。
『挨拶した方が良いと思った』何かの聞き間違えだろうか。会釈したのに素通りしたのは彼のほうだ。
色々な事がいっぺんに頭によぎった時だった。
私達を置き去りにした、彼がお盆に何かを乗せ戻ってきた。アイスだ。
丸いアイスを2つ重ねてレーズンで目をつけたアイスだ。
あまりにもユルすぎる雪だるまのアイスを見てさっきまでの苛立ちは何処かに消えていた。
アイスを食べながら少し話をする。
主に美紅が話してくれていたので、私は黙って話を聞いていた。
ふと高橋 渚と目が合う。すると思いっきりそらされた。
私何かした?とイライラしながら近くにあったグラスの中身をいっきに飲みほす。自分のお酒ではないことに気がついた時には中身は空になっていた。
「すいません。間違えて飲んじゃいました」
「それは大丈夫だけど、大丈夫?」
アイスの人が話かける。
喉の奧があつい。間違えて飲んだのはショットグラスに並々と注がれたテキーラだった。
お酒はそんなに強いほうではないし、すでにいい感じに酔っていた私にとってはトドメの一杯だった。
なんでこんなに強いお酒を飲んでるの。と思いながら私の記憶はここでなくなった。
「ねぇねぇ、さっき本社の人と話してた?」
さっきの出来事を思いだし少しイライラする。
目が合った瞬間、立ち止まったが、会釈も返さず素通りされたのを頭に浮かべた。
「話なんてしてないよ。こっちは気付いたから挨拶したのに素通り。狙うなんてやっぱりあり得ないよ。会社でイライラしないで接する事が出来るか心配」
「えっ。会社に来た時、愛想良かったんだけどなぁ。プライベートは別なのかな?」
「会社でも無愛想だったよ…まぁ少し助けてはくれたけど。たまたま助かっただけだと思う」
「結奈には本当の姿を見せてるとか」
「もぅ、フォローは良いよ。ありがとう。多分彼と私とじゃ本能的に合わないんだと思う」
「もったいな。美男美女で2人ともスタイル抜群だから合うと思ったんだけどなぁ。しかもこんな田舎。いい出会いなんて長々ないよ」
「その時は美紅よろしくね。お婆ちゃんまでずーっと一緒にいてね」
「まだ23歳なのにそんな発言は禁止。それなら彼の友達は?声からすると4、5人で男友達だけで飲んでると思うよ」
「本当に大丈夫だよ。無理して彼氏作っても長続きしないしね」
「そっかぁ。でもいい人ができたら、すぐ教えてね」
「勿論」。
しばらく飲んでいると、美紅もお手洗いに行く。
結構飲んだしデザートでアイスでも食べようかな、とメニューを見ていると美紅が戻ってきた。
「スマホ落ちてた。拾って持ってきちゃった」
結構な酔いが回ってた為、落とし物を店員に渡す事まで頭が回ってないのかな。と思いながら一緒にレジまで届けに行くことにした。
追加注文をするようにボタンを押せば店員が来ることまで頭が回らない私も意外と酔っぱらっている。
レジまでの通路を歩いていると後ろから
「すいません」
と声がした。
「すいません。それ俺のスマホです」
「今レジの所まで届けに行こうと思ってました」
美紅とスマホを落とした人がやり取りをしている。すると後ろから
「スマホ見つかったー?」
と声がした。
また高橋 渚だ。
早くこの場を終わらせて自分の席に戻りたいなと思っていると、別の友達が
「マジありがとう。こいつのスマホどこ探しても見つからなくて。どこにあった?」
「ヤシの木みたいな観葉植物の影にありましたよ」
美紅が答える。
「そんな所にあったのによく見つけたね。ありがとう。そうだ!お礼に良いものあげるから、そこの席で待ってて」
といい放ち厨房の方に消えていった。
どうやら彼はここの店員らしい。
めちゃくちゃチャラそう。正直苦手なタイプだ。
そして置き去りにされた私と美紅。
高橋 渚も居るという現状。カオスだ。カオス過ぎる。
一刻も早くこの場から離れたい。と思いながらも渋々彼らの席で待つ。
沈黙に耐えきれず美紅が口を開く。
「今日、会社に来た本社の方ですよね」
「そうです。さっき気づいて挨拶した方が良いかなと思ってたんですが、楽しそうに飲んでたので邪魔しちゃ失礼かなと思い。遅くなりましたが、高橋 渚と言います。月曜日からも宜しくお願いします」
まるで別人を見ているような気分だった。物凄く愛想よく話す彼。
さっき通路ですれ違った時とは大違いだ。
『挨拶した方が良いと思った』何かの聞き間違えだろうか。会釈したのに素通りしたのは彼のほうだ。
色々な事がいっぺんに頭によぎった時だった。
私達を置き去りにした、彼がお盆に何かを乗せ戻ってきた。アイスだ。
丸いアイスを2つ重ねてレーズンで目をつけたアイスだ。
あまりにもユルすぎる雪だるまのアイスを見てさっきまでの苛立ちは何処かに消えていた。
アイスを食べながら少し話をする。
主に美紅が話してくれていたので、私は黙って話を聞いていた。
ふと高橋 渚と目が合う。すると思いっきりそらされた。
私何かした?とイライラしながら近くにあったグラスの中身をいっきに飲みほす。自分のお酒ではないことに気がついた時には中身は空になっていた。
「すいません。間違えて飲んじゃいました」
「それは大丈夫だけど、大丈夫?」
アイスの人が話かける。
喉の奧があつい。間違えて飲んだのはショットグラスに並々と注がれたテキーラだった。
お酒はそんなに強いほうではないし、すでにいい感じに酔っていた私にとってはトドメの一杯だった。
なんでこんなに強いお酒を飲んでるの。と思いながら私の記憶はここでなくなった。