朱蜻蛉
東国の剣術小町
戦乱最中の室町

東方の国勢力と西方の国勢力は毎日の様に鎬を削っていた。

戦は日常茶飯事で人斬りも珍しくない世の中、東の国に朱音(あかね)という少女がいた。

19歳と年頃でこの国の長の一人娘であるが、幼くして母を亡くし、少し離れた町の剣術道場で育った。

「櫻華水鳴流(おうかすいめいりゅう)」

東の国一番の豪剣で彼女が育った道場はその総本山。

女の身でありながら剣は達者で、町では「剣術小町」という呼び名で有名だった。

17歳で、流派に伝わる長太刀「春月(しゅんげつ)」を受け継ぎ、実戦経験は無いながら、彼女の相棒となっていた。

この日は、父の治める城がある城下町の道場へ出稽古に行く予定だった。

「朱音、仕度は済んだのですか?」

佳代(かよ)、この道場を仕切っており、亡くなった母に変わり彼女を育てた、いえば家族の様な存在。

元は佳代の夫だった清延が道場を仕切っていたが、朱音が生まれてすぐの戦に行っては帰って来なかった。

朱音「大丈夫だって、行って参り…あっ!!」

佳代「父様に頼まれてたでしょ?紅酒」

朱音「忘れてた!!紅酒好きだからな父様は。果物一杯で甘いから私も好きだけどね」

佳代「届ける前に飲んではいけませんよ。気をつけて」

朱音「わかってますよ…それでは行って参ります!!」

初春の道を、乙女はゆく…(続
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