【本編完結】誕生日に捨てられた記憶喪失の伯爵令嬢は、辺境を守る騎士に拾われて最高の幸せを手に入れる

第8話 あなたのためになりたくて

「リーズ、戻ったよ」
「あ、おかえりなさい、ニコラ」

 ニコラが仕事から戻るとそこにはキッチンに立つリーズの姿があった。
 家にはないはずのエプロンをしておたまを持ちながら、ゆっくりと鍋をかき混ぜている。

「…………」

 ニコラはリーズのその新鮮な姿に思わず虚を突かれて、ぶわっと顔を逸らす。
 その口からは小さなか細い声で「やばいだろ、その服」と呟いていた。
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