【完全版】雇われ姫は、総長様の手によって甘やかされる。
◇甘えられない強がり姫

あの後、水道で顔を洗った新那と私は出欠が取られる寸前ギリギリのところで、どうにか5限の授業へと滑り込んだ。

授業後、確認したスマホに怜央からの連絡はなし。



6限が終わり、SHRが終わってもスマホが通知ランプを光らせることはなかった。

「新那ー!今日って部活休みだよね?暇ならどこか寄ってかない?私、他の子とシフト代わったから休みなんだ」

鳴らないスマホは鞄の奥底へとしまい、新那へと声をかける。


明日にはまた一からバイトを探さなければならない。

今日くらいパーッと遊んで気分転換するのも悪くないだろう。


それに新那と改めて話もしたいし。

「暇!すっごい暇!瑠佳ちゃんと遊ぶの1か月ぶりだよね?」

「そうだね」

テニス部に所属している新那とバイトを掛け持ちしている私の予定が合うのは稀で、長期休暇の時を除けば年に数回ほど。

祝日や土日を使って会うことはあるけれど、放課後に遊ぶということは滅多にない。


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