復讐相手の将軍閣下が望むので、専属の侍女としてお仕えすることになりました~溺愛されても餌付けされても、すべてを奪ったあなたを許すつもりはありませんのであしからず~
「先見の明というのか、あるいは千里眼か? わたしの能力は、こんなものではないぞ。おまえの正体、それから、なぜおまえがここにいるのか、わたしはすべて知っている。どうした? 驚きすぎて言葉もないか?」
「いいえ。残念ながら、わたしの正体や目的は秘密にしているわけではありません。好んで触れ回りはしませんが、きかれたら素直に伝えています。もっとも、だれも尋ねる人はいませんが。いずれにせよ、宰相閣下がだれかに調べさせようがだれかから吹聴されようが、痛くもかゆくもないというわけです。もしかして、わたしを脅すつもりだったのですか? たとえば、わたしの体目当てとか? 『わたしと一夜をともにしろ。さもなくば、正体をばらすぞ』という計画だったのかしら?」
「いいや。それは、ぜったいにないない」

 宰相は、即座に手と頭を左右にフリフリした。

 んんんんんんんんん?

 なにかひっかかるわね。

「それでは、そんなどうでもいいことを告げてわたしが動揺するのを見、優越感に浸るつもりだったとか?」

 ほんとうは動揺している。致命的ではないけれど。

 だって、これまで偽装と演技で生きてきた。それが、たかだか「毛がおもいっきり残念」なぽんこつ宰相に見破られるなんて、ショックにきまっているわ。

 正直、口惜しすぎる。
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