復讐相手の将軍閣下が望むので、専属の侍女としてお仕えすることになりました~溺愛されても餌付けされても、すべてを奪ったあなたを許すつもりはありませんのであしからず~

思い悩む

 官邸から古びた宮殿に帰リ着くと、心からホッとした。

 ホッとしつつも、帰ってきたとかホッとしたと思ったことについて驚いてしまった。

 どうしてそんなことを思うわけ?

 ここは、わたしの家ではない。帰るべき場所ではない。それなのに、帰ってきたですって?

 まるで住み慣れた家みたいな気でいるわけ? だから、ホッとするわけ?

 自分で自分がわからなくなってきた。

 とりあえず、厩舎に行った。お昼はとっくの昔にすぎている。お腹の虫たちは、お腹がすきすぎて失神してしまっているのか沈黙している。わたし自身も気を失ってもおかしくないほど空腹である。

 だけど、ローズが寂しがっているかもしれない。

 あんな大きな厩舎の馬房で一頭だけでほったらかしにされたら、だれだって寂しいし心細くなる。

 だから、厩舎に大急ぎで行った。
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