復讐相手の将軍閣下が望むので、専属の侍女としてお仕えすることになりました~溺愛されても餌付けされても、すべてを奪ったあなたを許すつもりはありませんのであしからず~
「すまなかった。つまらぬ愚痴だ」

 彼は席を立ち、テーブルをまわってこちらにやって来た。

 なに? なにをするつもりなの?

 よくよく考えたら、こんな凶暴で無慈悲な男と二人っきりよ。

 何をされてもおかしくないわ。

 マズったわね。ナイフは部屋に置いてきてしまっている。まさか食事用のナイフでは、彼を全力でぶっ刺しても筋肉ではじき飛ばされてしまう。

 そうよ。フォークでもナイフでも、目ならどうにかなるかも。目だったら有効かもしれない。

 背の低いわたしだけど、ジャンプすればどうにかなる。と、思う。

 その光景を脳裏で思い描いてみた。

 ダメだわ。成功するなんて到底思えない。

 彼への攻撃方法を考えている間に、その本人がすぐ横に来ていた。何かを差し出されてハッとした。

 彼は、真っ白いハンカチを差し出してきている。
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