復讐相手の将軍閣下が望むので、専属の侍女としてお仕えすることになりました~溺愛されても餌付けされても、すべてを奪ったあなたを許すつもりはありませんのであしからず~
 部屋としてちゃんと使えそうなところは、思いのほか少ないことがわかった。その昔は皇族が使っていたであろう寝室のほとんどが、空っぽになっているかガラクタがおしこまれている。壁が崩れていたり、床がひび割れているような部屋もある。

 洗濯場は、すぐにわかった。そこも昔は設備が整った大規模な洗濯場だったのに違いない。いまは、ウオーレンや彼の従卒が使うくらいだから、道具がこじんまり置かれているにすぎない。

 執務室は、ウオーレンが使っているらしい。

 使用されている雰囲気が充分漂っている。

 図書室の規模にも驚いた。ほんとうの宮殿のそれにも匹敵するほどの蔵書数かもしれない。

 ウオーレンがこまめに掃除をしたり管理をしているに違いない。

 古書特有のにおいがこもっているわけでもなく、埃だらけという感じでもない。

 街にある図書館のように多くの人々の出入りがあるような、そんな明るさがある。

 自分の身の回りのこととウオーレンを笑わせるだけでいいのなら、時間はたっぷりある。

 たくさんの本を読むいい機会かもしれない。
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