復讐相手の将軍閣下が望むので、専属の侍女としてお仕えすることになりました~溺愛されても餌付けされても、すべてを奪ったあなたを許すつもりはありませんのであしからず~

ウオーレン、そこは否定するところよ

「いえ、だから、だから違うので……」

 冗談じゃない。

 復讐する相手と婚儀?

 金貨を何百枚と積まれたってあり得ない……。はずよ。

 とにかく否定よ、否定。否定あるのみ。

 というわけで、もう何度目かの否定を試みてみたけれど、ウイリアムとトリスタンはますます盛り上がっていてきく耳を持ってくれない。

 ウオーレン。そうよ、彼から「バシッ」と「スパッ」と否定してもらわないと……。

「いや、ちょっとまってくれ。そんな大事になったら、街の人たちも大迷惑だ。これは、あくまでも個人的なことだからな」

 な、な、なんですってーっ!

 血圧がいっきに上昇したのがはっきりと感じられた。

 ちょちょちょ、否定するどころかなにをそんなに乗り気になっているわけ?

 ああ、ダメ。血圧が上がったせいでクラクラするわ。
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