Doll
この世界には、大きく分けて二つの人種が存在する。それは普通の人間と、魔法を使うことができる魔法族と呼ばれるものだ。

二つの人種はかつて対立し、人は魔法族を迫害した歴史もある。だが両者は和解し、共に未来のために手を取り合うことを約束した。

学校や住宅街などを自由に歩けるようになった魔法族たちだったが、唯一立ち入らない、立ち入ってはならない場所があった。それはーーー街外れにある人形屋である。



出る杭は打たれる、という言葉がある。人はいい意味でも悪い意味でも「普通」を求めるのだ。そのため、何かに秀でた人間は目をつけられやすい。

「あんた、魔女なんでしょ?あたしたちのことカエルにでも変えようとか考えてるんでしょ?」

「男子があんたに夢中なのって、惚れ薬を飲み物に仕込んでるからでしょ?気持ち悪いよね〜」

「あんたなんか死ねばいいのに。そうしたら、みんな幸せになるよ?」

プラチナブロンドのウェーブがかった長い髪に、菫色の瞳を持った人形のように華やかな顔立ちの少女が校舎裏で複数人の少女に取り囲まれていた。罵倒され、有る事無い事を言われている。
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