春風、漫ろに舞う
「新しい仕事?」


「うん。
仕事ってほどでもないんだけど、依頼がきてね。
最近少しずつ増えてきてるんだ〜。」


「すごいじゃねえか。さすがだな。」


「全然そんなことないんだけど…。
その時の名義をどうしようか悩んでるんだよねえ…。」



ぶくぶくと湯船に沈んでいく芽来を気にかけつつ、自分の身体を洗っていく。


あの花火大会の時から、自分の活動についても話してくれるようになった。
なんでも芽来自身は、隠しておきたかったらしいが不可抗力でバレたから。
仕方なし、という心境だろう。



「そりゃ作ったのはわたしだし、わたしの曲だよ。
だけど、グループで活動してるんだから所属はそっちじゃんって思う…。」


「芽来はどうしたいんだ?」


「それが困ってるのよ…。」



全てを終わらせて、芽来のいる湯船に入れば。
目を閉じた芽来は安心した様子で寄りかかってくる。

芽来がいることに安心して、俺もその小さくて華奢な身体を抱きしめた。





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