春風、漫ろに舞う

藤花薫る日

え、なになになに。
どういうこと?これ。


流れに身を任せていたら、わたしはさっきの男の人の事務所と呼ばれるところに来ていた。
きっとお仕事中か何かだったのか。
十葵さん、という人が運転してくれる車でここまできたけど何だか色々凄い。
明らかに、ガラの悪い人達が沢山いて怖かった。



「緊張してるか?」


「え、まあ…そうですね…。」



色んな意味で緊張してる。
イケメンを目の前にしてる事もあるし、この部屋に入るまでにすれ違った人たちも怖かったし。
あんなに素敵な人!って思ってたけど、前言撤回。
早く帰りたい。


出された紅茶を飲みつつ、どうやってこの場を切り抜けようか無い知恵を振り絞って考える。




< 36 / 327 >

この作品をシェア

pagetop