モフぴよ精霊と領地でのんびり暮らすので、嫌われ公爵令嬢は冷徹王太子と婚約破棄したい
『それはこの場合においては関係ない。学院の生徒のひとりである我々が悪目立ちをする必要はない。クロイツァー公爵令嬢、エスコートは断る。お互い学院のルールに則り召喚式に参加しよう』
ベアトリスの顔が瞬く間に赤く染まる。目は怒りが表れているようにつり上がっている。
『いやです! 私は王太子殿下と一緒に行きたいのです。公爵邸まで迎えに来てくださいませ』
『はあ……はっきり断ると言ったはずだが。君は学院がなにをするべき場所なのかもう一度考えるべきだ』
『な、なんですか、それ……待って!』
くるりと踵を返して立ち去るユリアンの背中に、ベアトリスの怒りを帯びた声が追いかけてくる。ユリアンの態度が納得出来ないのだろう。癇癪はいつものことなので放っておこうとしたが、令嬢らしくなく喚いていたベアトリスが急に静かになったため、どうしたのかと気になりうしろを振り返った。
『クロイツァー公爵令嬢?』
ベアトリスは渡り廊下の中央でしゃがみ込み、片手で頭を押さえていた。
ユリアンはさすがに心配になり、彼女に近寄って自分もその場に膝をつく。
『どうしたんだ? 気分が悪いのか?』
『……なんだか頭が痛くて』
彼女は不機嫌そうにぼそりと答える。先ほどまでのうるささが嘘のように静かで、本当に具合が悪そうだった。
『顔色が悪いな』
ユリアンはベアトリスに帰宅するよう促し、彼女を支えて馬車まで連れていった。
ベアトリスの顔が瞬く間に赤く染まる。目は怒りが表れているようにつり上がっている。
『いやです! 私は王太子殿下と一緒に行きたいのです。公爵邸まで迎えに来てくださいませ』
『はあ……はっきり断ると言ったはずだが。君は学院がなにをするべき場所なのかもう一度考えるべきだ』
『な、なんですか、それ……待って!』
くるりと踵を返して立ち去るユリアンの背中に、ベアトリスの怒りを帯びた声が追いかけてくる。ユリアンの態度が納得出来ないのだろう。癇癪はいつものことなので放っておこうとしたが、令嬢らしくなく喚いていたベアトリスが急に静かになったため、どうしたのかと気になりうしろを振り返った。
『クロイツァー公爵令嬢?』
ベアトリスは渡り廊下の中央でしゃがみ込み、片手で頭を押さえていた。
ユリアンはさすがに心配になり、彼女に近寄って自分もその場に膝をつく。
『どうしたんだ? 気分が悪いのか?』
『……なんだか頭が痛くて』
彼女は不機嫌そうにぼそりと答える。先ほどまでのうるささが嘘のように静かで、本当に具合が悪そうだった。
『顔色が悪いな』
ユリアンはベアトリスに帰宅するよう促し、彼女を支えて馬車まで連れていった。