魔法のいらないシンデレラ
「もしもし」
「あ、瑠璃さん?」

瑠璃は返事をしながら、ツリーの反対側にいる一生の背後に目をやった。

一生から少し離れたところで、電話をしている早瀬の姿が見える。

早瀬もこちらを見ていた。

「総支配人、ツリーが完成するまでここにいると思う。今から大丈夫?」
「はい。台車に載せて、エレベーターの近くに置いてあるので、すぐ搬入します」
「俺も手伝う」
「え?でも…早瀬さん、一生さんのそばを離れない方が…」
「あははっ、そんなストーカーじゃないんだから。少しくらい平気だよ」
< 200 / 232 >

この作品をシェア

pagetop