魔法のいらないシンデレラ
「ところで瑠璃さん。その赤ちゃんは…その、もしや瑠璃さんのお子さん?」

早瀬の言葉に、一生はギョッとする。

「あ、いえ!甥っ子です。姉の息子で、篤志といいます」
「ああ!あの写真の赤ちゃん?」

ようやく冷静になった一生が、思い出したように言う。

「はい、そうです。もうすぐ9ヶ月になります」
「へえー、そっか。かわいいなあ」
「かわいいって。良かったね、あっくん」

そう言って笑う瑠璃は、まるで本当の母親のような優しい眼差しをしていた。

やっと落ち着いたと思った一生の顔が、再び赤くなるのを見て、早瀬はやれやれと心の中で呟いた。
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