魔法のいらないシンデレラ
しかし、すでに会場からは大きな拍手が起こっている。

「さ!瑠璃ちゃん!」

佐知も、早く行けとばかりに瑠璃をうながす。

頭を下げながら、おずおずと立ち上がると、古谷が壇上から降りてきて、瑠璃の手を取った。

拍手の中、古谷にエスコートされて瑠璃もステージに上がる。

賞状を渡したあとその場に留まっていた一生が、驚いたように瑠璃を見つめる。

「この写真…あなたでしたか」

瑠璃は、うつむきながら小さく頷いた。

「この賞を、彼女に捧げます。本当にありがとう」

古谷がそう言うと、会場から今日一番の拍手が送られた。

「写真、いいですかー」
「こっちに目線お願いしまーす」

気づくと、ステージのすぐ下でたくさんのカメラマンが、何枚も写真を撮っていた。

ひっきりなしにシャッター音がして、瑠璃は、熱気と緊張で顔が真っ赤になるのを感じた。
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