逃すもんか

史弥とゆかりは2人のペースでその後もデートを重ねていた。

映画を観にいったり、あのカフェレストランへも行ったり…
おウチデートも多い。
ゆかりが料理に目覚め、試食を史弥にしてもらう為だ。
そしてネズミーランドで買った記念日のペアのマグカップも使っている。ふふ。

7月に結納をした平岡さんと北野さんの４人で食事に行くこともあった。

史弥は11月に片桐先生の実力テストを受ける予定だったが、先生の手術で来年に延期になっている。

10月になってから突然ゆかりが
「ねぇ、史弥さん。フランス語ってやっぱり難しい？」

「え？どうしたの急に…」

「うん…私も史弥さんがフランスから取り寄せている雑誌やバッグのカタログを時々見せてもらうじゃない？
やっぱり何か私も語学を覚えたいなぁって思ったの。
高校の頃は英語の成績も普通だったから…
フランス語は英語より難しいかなぁ？どう？」

「オレも高校の頃は英語なんて全然ダメだったけどさ、でもカタログのフランス語を読みたいとか、フランスへ行ったら困るんだぞ！って自分に言い聞かせてやってるからなぁ。
だからさ〜ゆかり。勉強して損はないと思うし公民館の教室だから月謝も安いのにフランス人の先生も多いんだわ。」

「私なら初級からだね。」

「うん。でも絶対にやるべきだよ！
一緒に日曜日に通おうぜ！な？」

「うん。そうだよね。勉強して損はないもんね！
やってみる！」

「じゃあ、今度の日曜日に一緒に教室へ行こう。
ゆかりは体験してみてさ〜」

「うん。やってみる」

「じゃあ、教室の受付に連絡しておくわ」

「お願いします。」