霊感御曹司と結婚する方法

政略結婚と三角関係と ー糾司視点ー

 俺は、帰国して早々に、約束していた遠城さんに会った。彼女の行きつけのバーに連れて行かれた。彼女とはよく飲みに行くが、彼女が店を指定するのはめずらしい。何か変わった話があるのかもしれない。

「村岡くん。例の人事のデータベースの件、うまくいったわよ」

 初っ端の話は、彼女に依頼をしていた仕事の話だった。

「改修の予算もすぐ付いたし、総務は何か思い当たることがあったのかもしれない。こちらから申し出る前に、極秘裏にすすめてほしいって総務の方から言ってきたのよ。蓋をあけたらアマアマだったし、やってよかったと思う」

「遠城さんに相談して良かったです」

 遠城さんは、会計関連のシステムも担当したことがあるから、話は早いはずだった。

「もう、ガッチガチに固めておいたから。……でも、これで何か炙り出てくるものがあるのかしら」

「何も出てこないようにするために、お願いしたんですよ」

「あいかわらず、全部いってくれないのねえ……」

「ただの僕の思いつきです。例えば、夢枕にでたとかそんな根拠、誰が真に受けると思いますか?」

「あなた、サイキッカーだものね。常人にはわからないわね」

 人事のシステムそのものに問題があったかは、俺にはわからない。ただ、人事評価の記録内容に大きな問題があるということは、この間、蒼子につけられた評価をみてわかったことだ。

 それで、まずは人事データの漏洩の心配が無いかというところで、この遠城さんに相談したのだった。

 遠城さんには以前からグリーンで使うシステムの設計を依頼していたのだが、人事のシステムの調査の方を先にかかってくれるようにお願いをした。そうしたら、彼女は、さっそく総務の方に掛け合ってくれた。

「無理を言って申し訳なかったです」

「いいのよ。いつものことだし。今回のことは難しい内容ではないのよ。でも、重要なことだし、私は改めてあなたの目のつけどころに感心しているのよ」

「そう言ってもらえると助かります」
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