一夜限りのお相手が溺愛先生へと変貌しました
そんな凛は、本日の咲のドレスアップを担当してくれただけでなく、自社にてドレス事業を立ち上げるためのウェディングドレス製作第一号を、繭に着てもらったのだ。
「このウェディングドレスも、私の希望を通しつつ華やかに仕上げて頂いていて、やっぱり凛さんは凄い人です」
「べっ別にあなたのためじゃないからっ、参考に好みを聞いてただけだから!」
「きっと買い取ったら高額ですよね、レンタルですみません……」
「そのドレスは記念にうちのオフィスで飾るのよ、だから汚さないでねっ」
「ふふ、はい。ありがとうございます」
強い口調は三年経っても相変わらずだが、繭との関係は少しずつ良い方向に進んでいき、今や椿のお嫁さんとして認めている凛。
何より二人の子である咲の事を、歳の離れた妹のように可愛がっており、遊びに来ては洋服をプレゼントしてくれるので、まるで生身の着せ替え人形のように大量の服を持つ咲。
「ドレス事業の次はベビーキッズ服にも取り掛かろうかしらね……」
ぶつぶつと呟く凛の野望が止まらない中、繭は咲の頬に手を添えて微笑む。
この子と一緒に結婚式を挙げたいという繭の夢が、三年を経てようやく叶うから。
「昨日練習した通り、出来そう?」
「うん!さきできる!」
「今日は陸くんもきてるから、頑張ってね」
「りくいるの?わかった、さきがんばるよ!」
嬉しそうに満面の笑みで応えてくれる咲は、きっと今日という特別な日を楽しんでくれていて。
それが繭にとっても嬉しく、自分が主役であることも忘れて自然と顔が緩んでしまう。
その時、再びノックがして凛がドアが開くと、ブライダルアテンダーの女性が式場入りを知らせにきてくれた。