愛はないけれど、エリート外交官に今夜抱かれます~御曹司の激情に溶かされる愛育婚~
生真面目で優しい女性。
その南が誰かほかの男のモノになる。
そんな現実を突きつけられたときに、好きだと自覚したのだ。
小学三年生のときに出会ってから十五年、高校で再会してから九年もの年月が経っていた。
それまで碧唯に恋人がいなかったわけではない。長続きしないのを除けば、人並みの恋愛経験を重ねてきた。
『南に好きな男ができたら相談に乗ってやるよ』
そう豪語していたくせに、電話で彼氏ができたと報告されたときに言葉を失った。
いきなり真っ暗闇の穴に突き落とされたような気分と言ったらいいのか。
ようやく出てきた言葉は『本気で付き合うのか……?』と、南の気分をぶち壊すものだった。
『碧唯くん、ひどい』
そう言われて傷つく無様な自分に辟易した。
それからしばらく疎遠になった南から連絡が入ったのは半年後。男に振られたという、碧唯にとっては喜ばしい電話だった。