なぜか推しが追ってくる。

これが、俺の愛してやまない人だ





地味で自分に自信を持てなかったヒロインが、高校に入学して同じクラスになったイケメンに興味を持たれるところから始まる王道ラブストーリー。

現在も連載中の原作はそんな内容だったはず。


特別に台本を見せてもらうと、原作よりヒロインの独白シーンがかなり多くなっているのがわかる。やはりこれは原さんを見せるための舞台なのだ。


だけど──




「すみません一度ストップ。……原さん、ヒロインは少し自信のない感じを出したいので、そのあたりのメリハリをもうちょっとつけてもらえますか」


「……」




彼女にとって演技は初挑戦だから仕方ないのだけど、お世辞にも上手いとは言えない。

ヒロインではなく原麗華が話している、という感じがすごく強い。


原麗華ファンをターゲットにしたものなのだから、それはそれで良いような気もするけど……監督としては、そこにあぐらをかかず、きちんとした舞台として成立させたいのだろう。原さん目当てでないわたしも同意見だ。





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