なぜか推しが追ってくる。

それはずっと恋だった





わたしが恭くんを推すようになったのは、二年前に彼が出演する舞台を見てからだった。


お母さんに無理やり連れていかれた舞台。

全く楽しめる気はしていなかったのに、恭くんが現れた瞬間、全てを持っていかれた。



恭くんが演じていたのは、主人公の弟役というそこまで目立つキャラクターではなかった。

だけど彼は、他のどの役者よりも、自分の演じる役のことを理解し、寄り添っていた。


感動的な場面でも何でもないのに、涙が止まらなくなっていた。



あの瞬間、わたしは天羽恭に恋をした。


それは、同世代の女子たちがクラスの男子や部活の先輩に恋をするのと全く同じ感覚だったのだ──。





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