冤罪で処刑され、ループする令嬢 ~生き方をかえてもダメ、婚約者をかえてもダメ。さすがにもう死にたくはないんですけど!?
 するとリーンハルトがクスリと笑う。

「レティシアらしいな。だから、理由を知りたがっていたんだね。
 ただ、単に居場所を取られると思ったんじゃないか? 普通ならば、嫉妬で終わるところをミザリーはたまたま闇属性が強力だった。そのため、コンプレックスや心に傷を持つ人間を思うままに操ってしまった。その結果ああなった。
 それにうちにはたくさんの魔術書が置いてあるから、いくらでも勉強が出来る」

「それじゃあ、ニーナやマリーナも心を操られていたの?」
「そういうことになるけれど。父上が使用人に聞き取りを調査をしたところ、ニーナは自分のことを没落貴族の娘だと言っていたそうだ。だから本来ならば、自分もお嬢様なのだと」
「え? そうだったの? だから孤児院から来た私が気に入らなかったの?」
「いや、違う。雇う前に身元は調べている。だから、本人が信じ込んでいたのか。虚言癖があったのか。
 いずれにしてもレティシアもわかっただろう? 心を操られ人を殺そうとする人間もいれば、僻みですむ人間もいる。元々ないものは増幅できないんだよ」

 リーンハルトの言葉にぞくりとした。
 最初の人生で、レティシアが浮気するトレバーに腹を立てながらも、殺さなかったから冤罪をかけられたのだろうか。 

「なんだかミザリーが化け物みたいに思える」
「俺もそれは一緒だよ。ただ、ミザリーはレティシアになりたかったんだと思う」
「なぜだか不思議だけれど私もそう思えるの。何というか、他の誰かになりたかった?」
 ふっとリーンハルトが笑う。

「それでレティシア、これからどうするの? もうしばらくは休んだ方がいいと思うが、また教会で働くつもり?」
「私のことはいいの。それより、あなた休み過ぎじゃない。専科の方とか王宮の方とか大丈夫なの?」
 彼の将来が心配だ。

「大丈夫。俺もあと少し休むから」
「そうね、少し休養は必要かもしれない」
 少しやせたリーンハルト見てそう思う。

「休養じゃないよ。ミザリーを探しに行く」
「え?」
「うちに来るはずだったミザリーは、魔力持ちではなかったんだよ」
「えっと、確かに。前回あなたは私にミザリーは魔力持ちではないといっていたわ」
 レティシアもそのことには違和感を抱いていた。それに彼女は髪を染めていた。

「ある日突然強力な闇属性持ちになっているなんておかしな話だろう」
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