【完】大人の世界~甘美な毒に魅せられて~
「そっか。そう決めたんだ」

RYOさんはソファーに深く腰掛けたままの姿勢で天井を見つめた。

「ごめんなさい」

私はまともに彼の顔を見ることができない。

だって、元はと言えば私が言い出したこと。

それなのに自分の都合で勝手にやめるなんて。

うつむいたきり自分の手の甲を見ている私にRYOさんは言葉をかける。

「教えてよ。どうして?」

「それは…」

「言えない…の?」

勇気を出してなんとか顔を上げる。

けれど私の目に飛び込んできたRYOさんの表情はあまりに寂しげで、胸が痛い。
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