貴方と私は秘密の✕✕ 〜地味系女子はハイスペ王子に夜の指南を所望される〜
そして……最後に紺野洋子。

あれからしばらくして、謎のベールに包まれていた噂の新部署設立に伴う会社組織改編のサプライズ人事とやらがついに発表となった。
そして彼女はその新しく出来た営業部署への転属となり、物理的に神山透と離れることになったのだった。
外見を磨く事ばかりに余念がなくて、実務スキルは空っぽなのかと思いきや、ああ見えて中々の事務処理スキルがあったらしい。
新部署にはあちこちからそこそこ優秀な人材がピックアップされて集まって来ているともっぱらな噂なのであった。

「新しい部署では覚える仕事も沢山あるでしょうから、しばらくは恋愛なんかにかまっている時間は無さそうですね」

バタバタと新部署設立への最終調整を進めながらも神山透にそんな話をしてみれば、

「そのままバリバリキャリアを積んで、恋愛からあと10年くらいは遠ざかっていて頂きたい」

興味が全く無さそうなイケメンからは辛辣な、呪いとも取れる答えのみが返ってくるのであった。


そんな訳で、色々なものがとりあえずは落ち着いたといえるこの現状。

目下の悩みは神山透の熱烈な「一緒に住もう発言」をどう回避するのか。そんな贅沢で大したことのない悩みで頭を抱える、幸せな私達なのだった。



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