貴方と私は秘密の✕✕ 〜地味系女子はハイスペ王子に夜の指南を所望される〜
――
 
 洋子は思う。
 どうしてこんなことになってしまったのか。
 神山透を馬鹿にするような、ある事無い事噂話をしなければよかったのか。神山透をホテルになんて連れ込まなければ良かったのか。それとも、部署内で勝手気ままな恋愛を謳歌しなければよかったのか。

 ……いや。これは自身のスキルが買われての大抜擢の人事。いつか何らかの形で評価されることだったのだ。
 決して誰かからの嫌がらせ、報復人事なんかではないはずだ。だから給湯室で聞いたあの話も単なる噂、やっかみだ。きっとそうに違いないのだ。
  
 手に持った紙袋は先程よりも随分重くなったような気がするが、洋子は一瞬目を瞑り、迷いを振り払うかのようにギッと天井を睨みつける。
 そして深呼吸を1つすると、新しい部署へと再び荷物を運ぶ為に歩を進めるのだった。
< 128 / 144 >

この作品をシェア

pagetop