貴方と私は秘密の✕✕ 〜地味系女子はハイスペ王子に夜の指南を所望される〜
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私を背後から抱きかかえ、ベッドの前の大きなスクリーンで、テレビの名画ロードショーとかなんかを見ている神山透に声をかけてみる。

「えーとですね、神山さんの仰るえっちに対する認識と、私の思っている認識は、大体あってました」
「……そうですか?それはよかった。」

少し目を丸くした後、ぎゅうと私を抱きしめ肩にキスをし、イケメンは嬉しそうにニッコリ笑う。

うん、よかったよかった。神山透の考えが(少なくても私にとっては)一般的であることが証明されたのであれば、それはそれで喜ばしい。
……いや、だけど、この人の認識がそもそもおかしいのでは?から始まった話だよねえ?これ。
ちゃんと最後までイタせるなら、どうして「女性が夜に何をどうして欲しいのか、ご教授して下さい」と頼んできたのか。
わざわざ私に頼むなんてどんだけ自信がないのかと思って、「指導」してやろうかと思ったら、逆にしっかり気持ちよくしてもらっちゃって、これでは立場が逆である。
そんな必要なかったんじゃないの?と思うと共に、とある仮説が頭をよぎる。

さては今までの歴代の彼女がよっぽどの猛者だったのか、はたまた……

「神山さんて、今まで性的に不能だったんですか?」
「はあ????」

心外である、と言わんばかりのその反応。

「いや、つい最近まで不能だったけど、できるようになったのかと……」

すると最後まで言う前に、「そんな訳ないでしょ!!!」とスパーンと頭を叩かれて、私は思い切り神山透に怒られてしまうのであった。
どうやらこういった類の話は男子にとって、沽券に関わるデリケートな話らしい。

「えっと、ではこうして神山さんの認識は間違っていなかった事が証明された訳ですし、ご教授の件はこれで終わりと言うことで……」

そういって、するりと神山透の腕から抜けようとすると、

「いやいや一度きりでは認識が合ってるのかどうかの根拠としては乏しいですから、証明されたとは言えませんよね。」

そう言ってガッチリ私をホールドすると、イケメンは「次の予定はいつにしましょうか。」と、どこか圧の強い笑顔でスケジュールを組み始める。

そしてまんまと、次週も神山透と会うことを約束されて、ようやく私は駅にて放逐されたのだった。


……あっ。寝顔の写真、消してもらうの忘れてた。

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