貴方と私は秘密の✕✕ 〜地味系女子はハイスペ王子に夜の指南を所望される〜
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「えっちは毎回しないとは言いましたけど、何回に一回ならいいんでしょう?二回に一回?」

性急な行為の後、名残惜しそうに首筋に唇を這わせながら神山透はそう聞いてきた。
勢いで口にした言葉に根拠なんてない私だが、「四回に一回……ですかね?」と提示してみる。

最短週一ペースで会ったと仮定するなら、大体一ヶ月に一回、長くて二ヶ月に一度程度である。
すると「長過ぎる!」とのイケメンからは不満の声。
でも二回に一回では短すぎるのでは?となり、双方の希望の中間として「三回に一回はえっち込み」という条約がここに締結されたのであった。

なお、この時点で神山透との関係性は未だ曖昧だが、とりあえず「都合の良いセフレ」から「特別なセフレ」へと変わったのだと勝手に解釈をしている私である。
特別なセフレってなんなんだよ、と我ながら思うところではあるが、まあそれは一旦置いておいて。

「彼女にしてほしい」と訴えればもっとわかり易い関係性になるのかもしれないが、そこはまあ、相手の都合もあることだしね?断られる可能性だってあるわけだしね?

……とかなんとか言い訳してみるものの、再び本能の人間になった今となっては、単に色々考えるのが面倒なだけでもあった。

自分の中でも神山透への感情が何なのか判断つかない現状は、「とりあえず雑に扱える人間扱いされなきゃいいや。」そんな感じである。
なんかほんと、色んな面でユルくなってしまって申し訳ない。
本来ならばこんな人間ではないはずなんだ。
みんな本能が悪いんだ。
本能との残虐ファイトの末、壮絶な最期をとげた理性には、くれぐれも成仏して頂きたいものである。

そんな訳で私は神山透との関係を一方的ながらも、心新たにスタートすることにしたのだった。
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