Nothing's Gonna Stop Us Now 〜この愛、止められない〜
6年後の真実
そして今、終着駅の待合室で、私はさり気なく戸倉の左手をチェックしたところ、指輪はしていない。

まだ24才だから、独身の可能性のほうが高いが、独身というだけで、恐らく誰か恋人ぐらいは居るのだろう。

「相変わらず、緒方は危なっかしいから、久々に会えたのに心配で仕方ないよ」

私は、ついムッとしてしまった。

「私より、他の可愛い誰かの心配したら?」

久々に会えたのに、こんなつっけんどんな言い方をするなんて…。

「他の可愛い誰かって…そんなの居ないし。6年前、俺があの日のアクシデントのことを謝ろうと思っても、緒方、いきなり転校したって担任に聞かされて、意味がわからなかったよ…」

「あの日のアクシデントって…?」

戸倉は、駅員の制服のズボンの裾をそっと捲る。

古傷なのだろうけれど、それはかなり酷い怪我だったということは、見れば判る。
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